2010/04/26 11:00:46
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日経平均の見通し
2010年4月23日(金)
【グレーゾーンを渡り歩く者たち】
 ゴールドマン・サックス(GS)が米当局(SEC)に証券詐欺で訴追されたというニュースに金融界で働く人ならたいへん驚いたに違いありません。というのも、ゴールドマンは米財務長官などの主要経済閣僚を多数出している金融界のトップ企業で、米政府と密接につながっていると見られていたからです。その密着度から「ガバメント・サックス」と言われることもあります。詐欺容疑による訴追は身内を告発するようなものとして株式市場は驚き、GSショックが起きるほどでした。
 GSによる証券詐欺の具体的な容疑は当時28歳で英国勤務の社員が住宅ローンの証券化商品である債務担保証券(CDO)をドイツIKB銀行などに詐欺によって販売したこととされます。被害者が多国籍になり、米国だけでなく、英仏独の各国が調査に乗り出すことになりました。ドイツ政府は白黒が判明するまでGSと取引をしないと宣言し、既にGSに実害が及んでいます。
 真偽は分かりませんが、被害者が機関投資家というプロで、リスクは良く分かっているはずという問題やCDOの商品特性として、そもそも説明を十分に出来るものではないという問題もあります。CDOは市場で取り引きする商品では無く、流動性がほとんど無い金融商品は時価が分からず、処分するまで損失額も分からないまま保有している機関投資家が依然として大勢いるのではないでしょうか。
 売り手としては機関投資家に1から10まで事細かにリスクを説明する必要が無いと考えるでしょうし、損失が出たら詐欺と言われれば困ったものです。同じ論理で問題となるなら、日本の農林中金や慶応大学、駒澤大学など、証券化商品やデリバティブ絡みの外債で巨額の損失を出した投資家は証券会社を訴えることが出来るでしょう。日本の大学の損失は数百億円レベルですが、ハーバードやスタンフォードは数千億円の損失が出たと言われ、金融工学のプロでも分からなかった事態です。
 また、多くの日本の投資家が低金利を嫌いソブリン債などに投資していますが、銀行や証券会社はリスクについて十分説明しているでしょうか。「外債は為替リスクがあります」と言えばリスクを説明したことになるかもしれませんが、例えば、豪ドルはリーマンショック後の安値で56円前後があり、現在の86円台では5割以上も高く買うことになります。具体的な水準について説明しなければ買い手として理解できないことがあります。用心しても、投資家は複雑な金融商品に手を出して損をした場合、詐欺で訴えて勝てるとは思えません。最も賢いのはGSの取締役が株主に訴えられた時に支払いを肩代わりしてくれる保険を政府が救済したAIGから買っていることかもしれません。訴えられた時の保険に加入していたことがGSのリスク管理の優れた点でしょう。
 日経平均はギリシャ国債の格付けが引き下げられたことによるユーロ安・円高で続落しました。ギリシャの財政問題はますます混迷の度を深めています。リーマンショック後に民間のリスクが政府のリスクに肩代りされ、財政の弱いところから順に問題が広がる可能性があります。足元では好調な企業業績が株価を支えますが、「民→官」へ移ったリスクの部分を逆に「官→民」へ戻すところが難しく、今後の最重要テーマとなるでしょう。
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