2010/06/29 19:46:24
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日経平均の見通し2010年6月29日(火)
成長戦略として「法人税引き下げ」は愚策
 法人税率を引き下げて減税することが日本の成長戦略であり、株式市場にとっても好ましいと考えられているようです。しかし、法人税減税の影響で消費税増税の増税額が大きくなり、経済にマイナスの影響となる可能性はないでしょうか?そう考えていたら、いくつか法人税減税の問題点を指摘する意見がありました。
 まず、今週号の週間ダイヤモンドで野口悠紀雄氏は、『法人税減税をしても多くの法人が法人税を払っていないから、効果が無い。(中略)仮に、こうした事情が無くても法人税は事業活動に影響しない。なぜなら法人税は利益にかかる負担だからだ。利益は企業活動の結果として最終的に決まり、利益最大化は企業の基本的な行動原理である。だから、税率が変化しても法人の行動に影響を与えることは無い。』と主張します。全くその通りで、税率の変化と無関係に投資の決定は行われ、雇用も余分に増加することは無いでしょう。また、企業が税率の低い海外へ逃げると考えるのも日本は海外分も含めて課税しているので影響が無く、外資が入りやすくなるというのも買収防止策が取られることが多く、税率とは関係が小さいと同氏は指摘しています。
 あるいは、日経ヴェリタス紙では京都大の中野剛志氏が『法人税減税は究極のバラマキ』と題して政策を批判しています。注目すべき主張は、『法人税は内需を縮小させる公算が大きい。なぜなら今の日本経済は需要不足でマネーが投資に向かわない貯蓄超過だからだ。しかも、過剰な貯蓄はもっぱら法人部門にある。法人部門にカネはあっても投資先がないというのがデフレ不況の問題の本質だ。』という指摘でしょう。利益が見込める投資先があれば企業は既に活発に投資しているでしょうし、大型の投資では借入を行うか、増資を行うことが主流ですから、減税の必要性はありません。
 このような理由で法人税減税分が成長戦略とならず、消費税率の引き上げ分に上乗せされるなら、景気悪化策になるに違いないでしょう。徹底した行政の合理化と余分な資産の処分、地デジ化で空いた枠の入札など、やるべきことはいくらでもあります。成長戦略については、もっとユニークな発想が必要です。選挙で争っているどの政党にも期待出来るほどの成長戦略が無いことが日本にとって大問題でしょう。
 日経平均は前場は高くなりましたが、前引け後の円の独歩高とアジア株の大幅下落で3日続落となりました。投資マネーはごく最近まで「安全資産」と言われる金に向かっていたように、今は債券を「安全資産」に選び、資金の逃避先としています。株式はリスクの高い投資先と考えられ、売られたわけですが、金も債券もバブルになれば安全どころか危険な投資先にしかなりません。逆に、株式は下がれば下がるほど「安全な投資先」となる性質を持っています。しかし、足元では、円高が進むにつれて債券は「安全資産」とされ、株式はリスクが大きいとみなされる流れが強まりつつあります。
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