2010/05/17 19:09:52
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日経平均の見通し
2010年5月17日(月)
【外貨準備をユーロ建てに分散する良いチャンス】
 日本はかつて、ドル・円相場での円高を防ぐ為に介入した際の多額のドルを外貨準備として持ち、それはそのまま米ドル債で運用されています。その間に1ドル120円を超える円安の時期も長期間ありましたが、逆の円買い・ドル売り介入はせず、絶好の「利食い」チャンスを逃してきました。現状で円に戻しても円高が急速に進むだけで混乱するばかりでしょうから、日本の外貨準備は現状ではドル一辺倒ということにしかなりません。あるいは、金地金を現在の急騰した場面でドルで買ったとしても投機を煽ったと軽蔑されるだけです。
 しかし、ギリシャやポルトガルの財政問題でユーロが急落し、加盟国が分裂する可能性さえ指摘されるほどユーロが叩き売られる現状は「外貨準備の分散化を計る絶好の機会」ではないでしょうか。米国でリーマンショックが生じる前のサブプライムローン問題が騒がれた頃にイランは石油代金をユーロで支払うように求めたことがあり、イスラエルやロシアで決済通貨にユーロの比率を高める動きがありました。現在はユーロは決済通貨として不人気になり、南欧各国の緊縮財政政策がユーロの景気を後退させ、それでもギリシャなどの国の借金は返済できないとする見方が強く、ユーロは全く人気がありません。
 このままユーロが対ドル相場で1.2や1対1というようなレートまで下がるかどうかは分かりません。それでも、ユーロには自動車や高級ブランド品やワインなど強い輸出品が多くあり、輸出企業はユーロ安で大いに潤っているに違いありません。また、米国にも商業用不動産市場の低迷や政府系住宅公社の債務の処理などの難問が未解決のまま残され、米ドルが絶対的に強いとは言えません。そうであれば、世界のGDPの総額に応じて、あるいは、せめて日本とユーロ圏の貿易額に応じて外貨準備をユーロに移し、多様化することは日本にとってプラスになるはずです。また、困っているユーロに信任を与えることはユーロ圏と政治的に遠い日本の地位向上にも寄与するでしょう。
 今のような時に日本政府が首脳会議などでEUとIMFが支援することを条件に米国や他の国と同じようにギリシャなどへ財政規律を求めることを迫っても意味がありません。日本がユーロ買いの実弾を投入し、ユーロ支援を行うことは緊縮財政を行う各国を勇気づけるでしょう。今や四面楚歌のユーロを日本が応援し、世界的な株安に歯止めをかける役割を担うことになれば資本市場からも喝采を浴びるかもしれません。日本が何もしなければ日本以上にドルを大量に持つ中国に先を越されてしまい、日本の評価が落ちるリスクもあります。菅財務相の勇断に期待したいところです。
 日経平均は欧州の金融不安に加えて、中国の一層の不動産投資規制強化の報道で中国株が暴落したことを受けて大幅に続落しました。こうした状況では日本独自の材料にはあまり意味が無く、本欄が指摘するような「ドル売り・ユーロ買い介入」でも起こさない限り、日本の主体的な相場は期待出来ないでしょう。日本にもギリシャ問題が飛び火して財政規律を求められることばかりを心配するようでは守りの姿勢ばかりで南欧各国と同様に景気が再度後退する可能性を高めるばかりでしょう。
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