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日経平均の見通し「円高を活用出来ない日本」
再びドル・円相場が円高傾向へ振れ、日経平均も影響を受けています。企業や個人が円高を有効に活用すると良いのですが、海外企業に対するＭ＆Ａのニュースなども活発とは言えません。日本勢は円高をもっと活用すべきでしょう。大きな資金が動く海外不動産投資では国内の不動産会社などの動きは中国で少し手を広げている程度で、ドル圏やユーロ圏などで買収や開発を積極化している企業は僅かです。ドル圏の企業に対して円高を利用すればかなり有利に展開できることは明らかでしょう。
例えば、米国の不動産バブルが最も激しかったフロリダ州ではピークから半額に値下がりし、ファミリー向け中古住宅の中央値は現在の為替で１０４９万円という手頃な価格になりました。ブルームバーグによるとディズニーが開発したフロリダ州の高級住宅地ディズニーワールド・リゾートの平均価格は６割下がり、２０６６万円まで値下がりしています。日本の都心の狭小住宅の価格で米国の代表的なセレブの住宅が２軒買えるわけです。
しかし、残念なことに日本の大手不動産会社や仲介会社はこうした住宅を日本に積極的に仲介しようという機運がまるで感じられません。間もなく６５歳で完全に引退する団塊世代向けにも、少しは夢のある市場開拓を考えても良さそうなものです。社会保障費削減につながるかもしれませんし、海外不動産はレンタルにしても良く、地震の多い日本の住宅に対するヘッジにもなります。日本勢は企業も政府も手をこまねいているばかりで、円高を戦略的に活用しようとする意気込みに欠けているようです。
一方で、円高で輸入品を安くするという努力もほとんど進まないようです。例えば、今年話題となった輸入車の新型モデルの価格は７年ぶりにフルモデルチェンジをしたジャガーＸＪの価格の場合で米国では６６４万円からですが、日本では５割高い１０００万円からとなっています。また、０−１００km/h加速が４．１秒、最高速度３１３kmというアウディ・Ｒ８スパイダーは米国で１３３８万円で買えますが、日本では２１９４万円となっています。ポルシェ・カイエン・ハイブリッドも話題となった新型車ですが、日本では米国の約２倍の価格で売られています。日本には自動車の関税はありませんので、価格の差は日本の消費者がとんでもなく経済音痴なのか、あるいは、政府の規制が厳しく、改造して売らなければならないか、ディーラーの怠慢が原因でしょう。
日本では円高を利用して輸入を増やせば円高を緩和して輸出企業を守ることにつながるという考え方が乏しいかもしれません。政府の「円高対策」は輸出業者の雇用に対する補助金や融資の保証などが中心で、最後は含み損が出てもお構いなしの為替介入という実力行使です。積極的に輸入を増やすという「円高対策」や海外投資の奨励策、規制緩和などをもっと官民挙げて検討すべきでしょう。
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