2010/05/07 19:18:37
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日経平均の見通し
2010年5月7日(金)
「欧州の財政問題で問われるべき日本の財政問題」

 ギリシャやポルトガルの国債が格下げされ、国債が暴落、金利が急上昇し、ユーロは「連帯保証人」として大きく売られるなど混乱が続いています。格下げを受けたギリシャはEUとIMFの支援を受ける為に増税や公務員給与削減などで財政再建を目指す法案を可決しましたが、反対するデモ隊との衝突で犠牲者が出る事件にまでなりました。財政再建は公的部門から民間に移った資産を再度公的部門に戻す作業に他なりませんから、ギリシャ経済のリセッション入りを意味し、国民に我慢と忍耐を強いることになるでしょう。
 しかし、同じように公的債務が膨大な金額で存在する日本は「円」が「リスク回避」で買われ、日本国債は「質への逃避」で価格が大幅に上昇しました。GDPに対する公的債務の比率がギリシャやポルトガルより断然大きい円や日本国債がリスク回避で買われるのはなぜでしょうか?その理由は国債の買い手が国内中心か国外かの違いにあります。国家だけでなく個人や企業の債務が大きい南欧各国は海外から資金を調達している為に投資格付けが下がると外国人投資家による債券売りが生じて金利が急上昇します。一方、投資家の大半が国内の機関投資家となっている日本国債は信用不安による景気後退懸念が債券買いの材料になります。
 とは言え、市場の評価が常に正しいとは限りません。問題は株式が急落しても通貨や国債が売られなければ財政問題に対して危機感が乏しいことです。独立行政法人の無駄遣いを排除する努力は評価できますが、非常事態と認識するなら、国会議員の定数削減など即実現すべきでしょうし、公務員の給与削減まであってしかるべき財政状態のはずです。徹底した公的部門の合理化を実現した上で増税に進めば良いでしょう。
 また、景気が順調に回復していると見られる米国でも、2011年には高額所得者の所得税率が現行の35%から39.6%に引き上げられることが決まっていたり、医療保険改革により大幅に税負担が増えることが確実となっています。公的部門の支えで回復してきた景気が支えが終了した時点で二番底に陥るリスクは十分にあるわけです。
 景気回復が軌道に乗る前に日米のソブリンリスクが浮上すると、急いで増税と歳出削減に迫られることになり、再びリセッション入りするでしょう。現状のようにギリシャ国債は売られても日本や米国の国債が買われていることで安心することは出来ません。ギリシャの財政問題を他山の石として危機意識を持って対応すべき状況です。
 日経平均は欧州の財政問題や中国の不動産投資規制などで世界同時株安の流れに巻き込まれ大幅続落しました。下落前の状態が金余り相場でフロスと言うべきミニバブル状態だったとすれば、その修正相場に過ぎないと見ることも可能です。為替についてはユーロよりもドルが強いと見られていますが、為替は相対評価に過ぎず、ユーロ圏にも輸出に強い企業が多くあり、南欧の信用リスクだけでユーロが売られることに限界があるはずです。為替も株式も、ひとまず、オーバーシューティングから戻す可能性に期待したいところです。
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