2010/06/01 19:17:30
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日経平均の見通し
2010年6月1日
日本でも変わらない急落リスク

先物の売買シェアが高いドイツ証券による本日の誤発注事件は先月6日に起きたNYダウの1000ドル近い急落を彷彿とさせ、日本でも急落が起きる可能性があることを想像させました。先月6日のNYダウの急落は高速のシステム取引による売り注文が下げを拡大し、それがパニック的に個人投資家などを巻き込んで急落したものと見られています。誤発注がきっかけとなったという説もありました。

本日のドイツ証券の誤発注は「寄り付き直後の1分間に180枚単位の先物売り注文を6900回出した」というものです。1秒間に115回の注文を執行したことになり、人のトレーダーによる執行では不可能であることは言うまでもありません。裁定取引のようなプログラム売買を自動で発注するシステムに障害が発生したことは容易に想像がつきます。問題は高速トレードだけでなく、数量にもあります。誤発注となった日経平均先物の想定元本は12兆円あり、この1日の売買代金1.1兆円の10倍を超えます。

相場関係者は「指値注文ですぐに取り消した為に影響は小さかった」とする声が多いようですが、成り行き注文で執行された場合は日経平均がNYダウの急落事件のようになっていたことは確実でしょう。また、東証には値幅制限があるのでNYダウ急落のようなことにならないと説明されますが、全銘柄がストップ安すればNYダウ急落事件以上に下げてしまいます。ブラックマンデーの日の翌日の日経平均は多くの銘柄がストップ安で3836円安となり、値下がり率は14.9%でした。このことは高速トレードによって日経平均が1日に1500円の幅で下落することが有り得ることを示します。

また、ブラックマンデーを引き起こしたのもシステム売買にあり、PI(ポートフォリオ・インシュアランス)理論に基づく自動発注システムにありました。ブラックマンデーでは一定以上の損失を回避する自動発注システムが連続的に作動して下げ幅を拡大し、一般の参加者をパニックに陥れて暴落を引き起こしました。先月6日のNYダウ急落時にも損失を防ぐ為に証券会社がPI理論に似た考え方で自動で売り注文を多く出すシステムが作動したと言われています。下落を見た個人投資家はパニックに陥り、ミニ先物に売り注文を殺到させたことが確認されています。これが集合して大口の先物売りにつながりました。下げの構造はブラックマンデーの時とほとんど同じだったわけです。

大口のプレーヤーが瞬間的に売買を実行するシステムが誤作動することを防ぐ仕組みは東証にはありません。パニックで安値を売り叩いた個人投資家や商品市場や為替市場の2次的な乱高下の損失に救済措置は無いでしょう。取引所と証券会社に誤発注や過度の取引を制限する「安全装置」を取り付ける必要があるのではないでしょうか。

日経平均は誤発注問題やアジア株安、円高などで反落しました。イブニング取引でユーロ不安が再燃しており、各国の協調姿勢が問われる相場となっています。リーマンショック後に協調体制が強まりましたが、出口戦略はそれぞれ独自に行われ、協調体制は崩れています。ユーロ危機は世界経済の回復が脆いことを炙り出しました。再度、協調体制を築くことが必要な時でしょう。
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