2010/07/07 10:03:59
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日経平均の見通し2010年7月6日(火)
悪い兆候としてのイールドカーブのフラット化
 イールドカーブのフラット化(長期金利と短期金利の金利差縮小)には2つのパターンがあります。そのひとつは景気が拡大する時に中央銀行が利上げを行い、金融引き締めで短期金利が上昇したものの、長期金利がそれほど反応しなかった場合に生じるフラット化です。これは2006年の住宅バブルのピーク付近で見られた現象で、利上げを行った後でも長期金利が上がらず、引き締め効果が中途半端になり、金融政策によるバブルの抑制効果がほとんど生じない困った事態となりました。
 もうひとつのイールドカーブのフラット化は、今のように短期金利の政策金利は最低水準で低下余地が無い状態で長期金利が低下しフラット化する状況です。この場合、政策金利は最も低く抑えられ景気拡大効果を期待しているにもかかわらず、将来の成長見通しが低下し、長期金利が低くなってしまい、前者と比べて金融政策の限界を示す意味で問題は深刻です。簡単に言えば、金余りでも個人や企業はお金を借りたくないと考え、銀行は貸したくないと考えて金利が低下し、それが長く続きそうな危険な兆候を金利が示しています。
 特に、大手企業はリーマンショック後の赤字に苦しんだ結果、設備投資を必要最低限まで減らし、在庫も同様に絞った結果、現金が豊富になり、それが金融機関に回り金余りとなり、設備投資資金を借入に頼る率が大幅に低下しています。とは言え、日本では90年以降のバブル崩壊でお馴染の光景ですから、日本のことだけなら市場関係者はどうということは無いでしょう。しかし、長短金利のフラット化が目立っているのは日本よりも米国となれば話は別です。
 米国の10年債金利は昨年末は3.8%台でしたが、先週は3%割れまで低下しました。10年債金利の低下は住宅ローンのような超長期の金利も大幅に下落させましたが、新規の住宅購入者が少なく、長期金利低下の効果が経済に反映されません。今の米国は90年以降の日本の金融関係者から見れば、「借り手不足」だけでなく、少なからず「貸し渋り」を疑いたくなるのではないでしょうか。日本では「貸し渋り」どころか銀行の資産圧縮方針によって「貸し剥がし」まであり、金融機関の行動が景気を悪化させ、更に貸し渋りとなる悪循環がありました。米国が日本の轍を踏むことにならないか長期金利の動向に目が離せない状況でしょう。
 日経平均は大型ファイナンスによる需給悪化懸念で下げていた中国株が政府の大型内需拡大策が明らかになり反発したことなどで3日続伸となりました。先進各国の景気回復の鈍化は新興国も同じと見られていただけに、中国の政策は意外感がありました。また、欧州は中国とのつながりが深く、中国の株高が欧州の株式市場を上昇させる効果もありました。前場に「中国の日本国債買い」のニュースで円買いに向かった資金や日本株のショート筋がやや慌てる場面となりそうな気配です。
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