2010/12/02 19:00:57
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2010年12月2日(木)「政府内で対立する証券税制のあり方」
 先月の政府税制調査会では有識者による専門家委員会(委員長=神野直彦・東大名誉教授)が開かれ、上場株式の配当金などに低い税率を課す「証券優遇税制」について、期限の2011年末以降は延長せず、廃止するとの方向性を確認しました。政府税制調査会は財務相が会長であり、財務省主導で少しでも増税したいでしょうから、この方向は予想されたことです。
 他の金融商品の収益に対して20%課税となることと比べて、上場株式や公募投資信託の配当金や分配金、売却益配当などの課税が10%になっていることを「証券優遇税制」と言いますが、配当課税は法人課税後の利益の配当に課税することであり、もともと二重課税されていますから「証券冷遇税制」であって、決して優遇されているものではありません。
 しかし、こうした財務省の増税路線に対して、金融庁は平成23年度の「税制改正要望項目」の中で全く正反対の意見を述べています。金融庁の要望項目では、『法人からの配当には、二重課税が発生』しているとし、『上場株式等の配当・譲渡所得の軽減税率(10%)は現下の経済金融情勢、配当の二重課税問題等に鑑みれば、経済の持続的な成長を支える資金の供給促進に係る政策的要請は引き続き大きく、上場株式等の配当・譲渡所得に係る軽減税率を延長すること』を要望項目としています。
 金融庁の要望の裏付け資料として、『軽減税率導入後に株式・株式投資信託の保有を伸ばしているのは、高所得者層よりも、むしろ中・低所得者層である』ということが「金持ち優遇税制」という批判に対抗するものとして有力です。資料によると、所得別に全世帯を5段階に分け、それぞれ保有の伸びを調べ、最も低所得なグループから2番目に低い層(平均年収401万円)で保有が90.9%の伸びとなったのが最大で、次に中間の3番目の層(平均年収536万円)が69.2%も伸びたことが分かっています。最も低い層(平均年収271万円)でも36.3%保有が伸びています。
 それに対して、最も豊かな層(平均年収1216万円)は9.4%しか伸びず、2番目に豊かな層(平均年収727万円)は24%の伸びとなり、資金力のある層では伸びが限定されていることが分かります。現在の税制では平均所得(世帯平均で630万円)に近い層が最も保有を伸ばし、所得が最下位の層でも大きく伸び、実態は「金持ち優遇」とは程遠く、幅広い層に株式保有を広げる結果になっていることは注目すべきでしょう。
 また、金融庁の資料とは別に、日本人の0.1%〜0.2%程度しかいないスーパーリッチ層は既に平均年齢が80歳近くに達し、高齢化で守りに徹するようになり、証券保有が増加することは期待出来ないと見られます。恐らく、最も証券保有が多いスーパーリッチ層は20%へ課税強化されるとその前に大量に株式を処分する可能性が高いでしょう。国内の機関投資家には個人投資家の売りを受け止める力が無く、個人への課税強化は外国人投資家に吸収されるだけの愚行となることは容易に想像がつきます。どのような税制が日本に必要か明らかでしょう。
 日経平均は欧州財政不安や地政学的リスクなどの大きなマイナス材料で売られた反動もあり、比較的大幅に上昇しました。その一方で、長期金利やドル・円水準が目先の節目に到達し、強弱感の分かれる局面となっています。オーバーシューティングする可能性も含めて乱高下しやすく、ポジション管理が重要な場面となりそうです。
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